谷 好通コラム

2004年05月15日(土)

958話 語意の取り違え

これまでの中国での活動で最も痛感したことは、
言葉の意味を正確に伝えることの困難さ。

その困難さは、
ある一つの物事について、
「経験がある人」が、「経験が無い人」に、その経験を伝えようとした場合、
困難を極めることと同じようだ。

たとえば、ライオンを見たことがある人が
見た事の無い人にライオンを説明しようとしたとする。

「体長は2mぐらいで、4本足で歩き、体の形は猫に似ていて、
体の色は褐色、オスの顔の周りには長いタテガミが覆っている。
不思議なことにメスにはタテガミが無い。
信じられないぐらい暑くてだだぴっろい草原に、家族で住んでいて、
ちょっと小さい牛のような「ヌー」とか、
鹿のような「インパラ」とかの動物を襲って食べている。」

ライオンを知っている私たちには、
それなりに解かるが、
見たことの無い人、ライオンをまったく知らない人には、
多分、チンプンカンプンな話であろう。

これは、生活習慣や価値観がまったく違う異国の人同士が、
異なる言語で、一つの事を議論する場合と似ている。

日本語で「○は×だから、△は■である。」
と言った場合、
「中国では、その価値観から○は必ず×であるということは言えないこともある。
ならば、それを根拠に△は■であると言い切られると、納得できない。」
という事もあり得る。

また、厄介なことが、
言語が違うと、必ず通訳さんを介して話すことになり、
話をする者と通訳さんとの価値観の違いが、
一つ言葉においても、言葉の意味を違えて通訳さんが受け取り、
通訳さんの受け取った意味で翻訳して、
話し合いの相手に話すと、
相手にはまったく違った意味が伝わることになり、
話がまったく噛み合わない場合がある。

経験の有る無し、価値観の持ち方の差異が、
通訳さんを、お互いの話し合いの中に介すると
その差異が、2倍の大きさになる事があるのだ。

たとえば、
日本語の「紺色(こんいろ)」という言葉は、中国語には無いそうだ。
だから、通訳さんは「黒」と「青」の中間の色と通訳したとする。
ところがその表現に対して、
たとえば、相手の中国人は、その色を「汚い青」と受け取った。
日本人は、「紺色」を美しい色であるという意識で話した事が、
中国人は、それを汚い色であると侮辱されたと受け取ってしまう。
そんなこともあるだろう。

このたとえの場合、褒め言葉が、侮辱の言葉に化けてしまったわけだ。

実際にこのような事があったわけでもなければ、
本当にあり得るのか、まったく分からないが、
話し合いをしているお互いが、気が付かないまま、話が続いてしまっている場合も、
決して無いとは言えない。
多分、数多くあったであろうと思っている。

KeePreという、従来のワックスとは概念からしてまったく違う製品を、
KeePreのことをよく知っている私達が、
ワックスのことしか知らない人に対して、
両方のことを知らない通訳さんが、お互いの言葉を翻訳するのだから、
おそらく100%の正確さで通じていることはないだろう。

それを補うために、
今回の私と車聖・任さんと私は、まったく反対の手法をとった。

任さんは、一つのことを伝えるために、色々な例を出して、言い換えて、
繰り返し繰り返し一つのことを説明する。
だから、話が長い。

任さんが5分ぐらい話したあと、
通訳の工藤さんが30秒ぐらいで通訳するという現象があった。
私は、工藤さんに尋ねたことがある。
「任さんは、ものすごくたくさんのことを話されました。
しかし、工藤さんはその何分の一かの話で通訳される。
任さんは、もっと沢山の事をお話になっているのではないのですか?」

と工藤さんは、
「いや、任さんは、私に正確に伝えようとして、何度も同じ事を
違う言い方をして繰り返し説明しているのです。」

同席の、やはり日本語と中国語の両方が分かる李さんと頼さんも、
「そうです。任さんは同じ事を繰り返し話しているのです。」と言う。

私は、その反対の方法をとった。
出来るだけ短く話して、短く通訳してもらう方法だ。
話を続ける中で
「しかし」という、一つの言葉だけでも、通訳して欲しいと要求したのだ。
短い話ならば、
通訳の人がその意味が分からないでも、直訳してくれれば、
大きな誤解にはつながらないと思ったのだ。
私は、話をぶつ切りにして話したわけだ。

どちらが良かったのであろうか、
まだ分からない。

話を繰り返して、通訳さんによく理解をした上で通訳もらう方法は、
正攻法であり、通訳さんを信頼した上でとりうる方法。
しかし、いかんせん話が長くなって、
限られた時間の中での話し合いの量が少なくなってしまう。

私のぶつ切りの方法は、
話の時間自体は短くなるが、
中国語に直訳できない日本語を無理やり“直訳”することになるので、
語意が違ったまま、話がつながらない場合もあるのろう。
あるいは、単語を間違えて聞いた場合、間違ったまま通訳すれば
話はチャランポランになってしまう。
この方法はあまり良くなさそうだ。

我社の李さんが、
「ワックスキズ」のことを「ワックスカス」と間違えと読んで、
間違った翻訳をした事がある。
本文をよく読めば、「ワックス傷」であることは理解できるはずなのだが、
「車にワックスをかけると、その工程の中で何らかの傷が入る」という常識を
知らない李さんにとっては、
“キ”と“カ”を間違って読んでも、
それが意味的にまったく違うことまで気が付かないとしても不思議ではない。

そういう意味も含めて、
話全体の意味を分からないまま、
短い言葉を“直訳”するということは、“出来ないこと”なのだろう。

いずれにしても、
もっとたくさんの経験を通じて、
もっとうまく通訳してもらう方法が身についてくるのだろう。

日本人が、同じ日本語で話し合いをしたって、
なかなか自分の真意を伝えることは難しい。
あるいは、相手の真意を汲むことは難しい。
お互いに一生懸命に相手の真意を理解しようと努力しなければ、
解かり合える事は出来ない。

異国の人との、意志の疎通の難しさを書いてきたが、
理解しあうことが本来的に難しいという意味においては、
それが外国の人とであろうと“程度の差”があるだけの話で、
お互いに理解しようという姿勢と努力が必要であることに、何ら違いはない。


明日、スーパー耐久・鈴鹿戦の決勝がある。
今日が予選だ。

私は、このところ出張が続いていて、
やらなければならない事が山ほど溜まっていて、
今日の予選は見にいけなかったが、
昨日の夜、チームのマネージャーの一人である林さんがサーキットに行くと聞いて、
一緒に出かけ、ちょっとだけチームを訪問した。

この日は、本格的な練習の日であったが、
車の具合で、十分な練習が出来なかったそうだ。
色々とあったらしい。
私がピットに行った時には、ちょっとムードがおかしかった。
Aドライバーでありチームオーナーである田中さんが、爆弾を落としたらしいのだ。
事情はよく分からないが、
いわゆる、“色々あった”らしい。

お互いに同じ日本語を喋っていても、
完全な意志の疎通とは本当に難しいことなのだ。

それでも、みんなでムードを盛り上げようと、
明るくしている。

マネージャーたちは、ピットに入るための“パス”を首からかけるための
入れ物(名前を忘れた)に、鈴鹿のマスコットキャラクターの着いた
かわいい(子供っぽい)ものを買っていた。
この人達の価値観にはどうも着いていけない。

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メカニック人達は、夜遅くまで?17KeePreインテグラの整備に没頭する。

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ホテルには田中さんが引き上げていた。
今日のゴタゴタにもめげず、
自分の会社を持っている“中国・大連”で作らせた
ラ・モップジュニアの二ューバージョンのサンプルを、ロビーの机に広げて、
しっかりとビジネスマンしていた。
立ち直りの早い人である。

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田中さんは、先月お会いいただいたアーデント・柴田社長の
すっかりファンになってしまったようで、
アーデントさんのステッカーが、ノーズの一番目立つ一等席に貼ってあった。
その気持、私もよく分かります。

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数々のスポンサーさんたち、今年もがんばりますので
どうか、よろしくお願いいたしま〜す。

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Bドライバー、というよりバリバリのプロレーサー「石川朗選手」は、
現役のキックボクサーでもある。
5月30日の試合のために新調したトランクスを見せてくれた。
なんと、「KeePre」と「快洗隊」がでっかくプリントしてある。

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気になるのは、「KeePre」と「快洗隊」、
どっちが前、つまり“金”であるのか、
後、つまり“ケツ”であるのか。


明日は、いよいよ決勝。
今日の予選もまずまずであったらしい。
ワクワクである。

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プロフィール

谷 好通

代表取締役会長兼CEO

谷 好通

キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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